はじめに
こんにちは。メディアドゥの勉強会運営事務局です。
2023年7月21日(金)19時から、「サブカル業界Developers 勉強会 Vol.5」がオンライン・オフラインのハイブリッド形式で開催されました!
前半ははてな様とpixiv様による登壇パート、後半は全社(はてな様、pixiv様、虎の穴ラボ様、viviON様、メディアドゥ)の代表によるパネルディスカッションパートの構成です。
メディアドゥからはFanTop事業本部 テックリードの菊地が登壇しました。
本記事では、パネルディスカッションでの菊地のトークの一部をご紹介します!
登壇者紹介
パネルディスカッションの内容
イベント終了後に行ったアンケートの結果でも、大変好評だったパネルディスカッションです。
気になるその内容ですが、大きく下記の項目になります。
●社内の体制、書店・ツール・メディアといった特性による、プロダクトへ与える影響はありませんか?
●エンジニアとサブカルチャー: 一線を越える愛は製品にプラスかマイナスか?
●オタクならではのエンジニアリング: 過剰な独自性がコードや製品にもたらす影響とは?
Q.企画や要件定義にファンとしてのマインドセットは必要かどうか
弊社は「ひとつでも多くのコンテンツを、ひとりでも 多くの人へ届ける」ということをビジョンに掲げています。そのような観点から、我々が作ってるシステムやソフトウェアの開発では、オタクである人でもそうでない人でも、なるべく多様なタイプの人が開発に関わることが、1番いいのではないかなと感じています。
実際に弊社の中を見てみると、ぱっと見でオタクとわかりやすいタイプの人は実はすごく少ないです。
しかし、特定の領域の話になると話が止まらなくなっちゃう、みたいな人がかなりの数隠れている印象で、両方(オタクと非オタク)いるんだろうけど、意外とオタクの社員が多いかなと感じています。
Q.どこから企画がやってきますか
社内では、いろんな仮説検証を行っています。サービスになってないようなレベルから、技術検証をたくさんしています。そうした環境の中で、ビジネスに強い社員だったり、部長・取締役クラスの方が、最終的に目指すシステムの理想形を考えた時に、そこにこういう技術を充てられるのではないかと仮説を立てて、それを元にチームを形成し、実際にものを作るという流れになることが割と多い印象です。
企画前の段階からこうした試行錯誤があるため、「作ってみました!」「出してみました!」で、企画を始動させることができずに時間がかかるという特徴があるように思います。
Q.一線を超える愛はプラスになりますか、それともマイナスになりますか?
そうですね、愛はすごい大事だと思っていて、ゼロイチ開発では必ず壁を超えないといけない部分があるので、そこは情熱でしか乗り越えられないと思います。
その一方で情熱を傾けるベクトルを考えることが、メディアドゥでは特に求められているように思います。
電子書籍取次の仕事では、出版社さんと電子書店さんの間に入って仕事を行います。
指定されたコンテンツを出版社からメディアドゥが受け取って、出版社さんの代わりに電子書店さんに向けて配信していくという仕事になります。出版社さんからお預かりしたコンテンツに、メディアドゥが愛情任せに大きく介入してしまうと、作者さんが本来望んでいた表現に対して余計に手を加えてしまうことになります。
こうしたことを防ぐために、メディアドゥはあくまでも「黒子に徹する」というスタイルで、愛情はあるんだけれども表面には出さず、奥の方で熱量をもっているところがあるように思います。
Q.実態として入社する社員はどんな人が多い?やっぱりオタク?
メディアドゥが何をしている会社なのか、イメージのつきにくい会社のように思います。
そのような会社だからか、わかりやすく「これを作りたい」と具体的な作りたいものがあって入社した、というタイプのオタクは少ないように感じます。
どちらかというと、内心に熱いものを秘めているタイプの方が多いと思います。また、どこかしら妙に癖が強い人も一定数いますが、それも一見するとわからなくて、やっぱりオタクであることを秘めているタイプが多いなという印象ですね。
Q.社内のコミュニケーションツールでオタクな話はしますか?
全社公開のSlack上では、割とミーハー話が飛び交っていて、 コンテンツの濃い話はあまりない印象です。
ところが、これが部活動(メディアドゥには様々な部活動があります!)など小さい単位のコミュニティを覗くと、結構みんな尖っていることをやっているな、隠れオタクの巣があるぞ、そんな様子がうかがえます。
Q.サブカル業界、出版業界特有の技術はなにかありますか?
電子書店には「書影」という本の画像を並べていきますが、これらの書影を表示させるにあたって、例えば最近であれば、画像を角丸の形にしたり、流行りのUI要素を作っていくといった事もできると思うのですが、ここで書影を加工し角丸にしてしまうと、書影に対して著者の意図にない加工を行ってしまうことになるので、出版社さんからご指摘をいただくことになります。こういうところは、他のWeb業界とはちょっと違うところかなと思います。
またビューアーについても、出版社さんがこれまで考えてこられたノウハウの積み重ねだったりするので、標準化された仕様や要件のようなものはないのですが、出版社さんが気にされていることをあらかじめ検討し、 配信の許諾(コンテンツを実際に配信していいよという許諾)をいただくためのチェックを行います。
過去にいただいた様々な指摘や経緯などが全て蓄積されているため、メディアドゥでビューアーを新しく開発した時には、全ての項目がクリアされているかチェックしてから、ビューアーチェックをするという裏側での戦いがあったりします。
Q.ピークタイム対策ってどうしてますか。
メディアドゥが担当している書店には、月額課金のサービスがあります。
具体的には毎月1日に、定額のポイントがユーザーに付与されます。ポイントで好きな本を買えるので、毎月1日は、かなりの人がアクセスして書籍の購入、閲覧するタイミングなので、インフラ担当者の月初の監視は特に大変ということでした。
私の担当範囲では、アクセスのピークタイムは特に発生しないのですが、とはいえ前述のようにコンテンツによってはピークタイムの影響を受けるところもあります。
それに応じようとアーキテクチャを作る段階で、アーキテクチャオタクな人が、 がっつりスケールアップができる仕組みでawsを使い倒し、「こんなサービスがあったの?」というようなサービスを持ち出してきて、驚きの工数で作ることもありました。しかし実際に蓋を開けてみると、ユーザーをそんなに獲得できてない、思った以上に刺さっていなかった、という状況もあり、スケールアップできる資源・コストの価値を逆に下げてみるということを行いました。
ECSマーケットといったサービスを使って、インスタンスをがっつりいくらでも増やせる状態だったものをあえてやめて、逆にAmplify Hostingに切り替えることに着手しました。
終わりに
今回は、サブカル業界Developers 勉強会 Vol.5パネルディスカッションパートにご登壇いただいたテックリード 菊地のトーク部分を一部紹介しました!
5社登壇のパネルディスカッションでは、それぞれの企業の特徴や個性が垣間見える時間になりました。
サブカル勉強会だからこそ話せるBtoBやBtoCといった各企業のサービス提供先の違いから、プロダクトと向き合うエンジニアの多種多様な情熱の形を伺うことができました。
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