こんにちは。メディアドゥの新卒2年目エンジニアの坂井です。
メディアドゥでは今年度より、新卒エンジニア向けの技術研修を内製・実施しましたので、今回はその意図、実際の内容、やってみての振り返りについてご紹介します。
技術研修を内製化した経緯
まずは、これまでの新卒エンジニア研修の流れについて簡単に説明します。
メディアドゥに新卒で入社したエンジニアは、約1ヶ月間全職種共通のビジネスマナー研修を受けた後、約2ヶ月の間外部のエンジニア向けの技術研修に参加していました。
この技術研修は、準備や研修にかける時間的・人的コストが軽いメリットがある一方、経験者には内容が簡易すぎる、メディアドゥで必要とされている技術を習得するという目的に対して効率的ではないといった課題がありました。
そこでエンジニアの育成に関わるエンジニア達で議論を重ね、今年度から新卒エンジニア向けの研修を内製することが決まり、CIOのもとに私を含む当時新卒1年目の2名がアサインされ、ゼロから研修を開発することになりました。
研修のコンセプト
研修のコンセプトは、Webエンジニアの基礎とエンジニアに共通して必要な知識の習得です。
メディアドゥはWebアプリケーションに強みを持つ企業ですので、Webの基礎は現場配属後にも必ず必要になる知識です。また、エンジニアとして複数人で開発していく以上、共通して必要な知識は多岐にわたります。
このため、今回の研修では技術の基礎に立ち返り、Web開発のベースとなる知見の獲得を重視しました。
研修の概要
・2023年 5/1 ~ 6/30
参加者
・新卒1年目エンジニア4名
講師
・2年目エンジニア2名 ※2022年度 新卒入社
研修概要
・研修の前半3週間で座学と実習を含んだ基礎知識の学習を行い、残りの1ヶ月と1週間で総合演習としてチームでの開発を行いました。
研修の内容
研修前半 ~座学パート~
研修の前半は下記5つのカテゴリーで基礎知識を習得しました。
コンピュータネットワークの基本的な仕組みや通信プロトコルおよびネットワークの構成要素やデータの転送方法
・Git基礎
バージョン管理システムであるGitの基本的な使い方やコマンドおよび複数人での開発作業やバージョン管理の重要性
・データベース基礎
リレーショナルデータベースの基本的な概念やSQL言語の基礎および実際の演習を含めたデータの保存や取得方法
・コンピュータ基礎
パソコンの物理的な構成や、現在主流のハードおよび構成ハードによる制限や意識すべきこと
・HTTP基礎
Webにおけるデータ通信のプロトコルであるHTTPおよびクライアントとサーバーのやり取りやリクエスト・レスポンスの仕組み
研修後半 ~総合演習パート~
研修の後半は、総合演習として社内のカフェで運用されている紙のスタンプカード運用をアプリ化するプロジェクトを実施しました。
medicome.mediado.jp 社員であれば1日1杯、フリーメニューから好きなドリンクを注文することができます。
皆勤賞を達成すると、シェフ監修スイーツ1個と引き換えることができるという特典がついてきます。
総合演習パートについて
カフェアプリの作成を行うことになった経緯には、この研修の初の受講者である新卒エンジニアたちの希望がありました。
研修の最初の段階ではログイン機能を持ったデモアプリを実装し、これまで学んできた知識と技術を実際に使うことでチームでの開発を体験する予定でした。
しかし、何かもっと面白いものを作りたい、せっかくなら実際の課題を解決するものを作りたいという彼らの意見もあり、カフェアプリの開発を行うことになりました。
実装した機能は、1日1杯無料のドリンクの引き換え管理機能と、皆勤賞のお菓子の引き換え管理機能、自分のスタンプの実績を確認できる機能、ユーザー管理画面機能です。
新卒はこれまでに学んだ知識や技術を活かして、カフェのスタンプシステムやお菓子との交換などの機能を実装しました。
これにより、実際のアプリ開発に必要なスキルやチームでの協力方法を体験することができました。
実施方法
それぞれ研修を開発した先輩エンジニアが研修講師を務めました。
研修成果
新卒エンジニアが研修を通してwebエンジニアとしての基礎を学べたことは、gitを用いて資産を管理し、ネットワーク、DB、HTTPの知識を使い素敵なアプリを開発できたことが証明していると思います。
また、総合演習では、これまで個人では経験することのできなかったチームでの開発のコミュニケーションの難しさ、大切さを学んでいたと思います。
今回の研修の良かった点
今回の研修のよかった点は、大きく2点あります。
1点目は、昨年新卒入社した先輩社員が研修全体を運営・管理した点です。
年齢が近い先輩社員が研修を実施することで、研修を受ける新卒も話しやすく、またメディアドゥのことを質問しやすい環境を作れたのではないかと思います。
2点目は、先輩エンジニアが遊びに来やすい環境だった点です。
研修場所が外部の会場からメディアドゥのセミナールームに変わったおかげで、休み時間や空いた時間などに先輩エンジニアが来て、挨拶や部署の紹介などをして交流することができました。
研修を運営してみた感想
ゼロから研修を作る難しさ、人にものを教える難しさなどをとにかく感じました。
参考になるものを探すところから始めたため、これで良いのかという疑問が常にありました。
また、教えている際に本当に理解させることができているのかという不安が常にあり、これを判断することに特に難しさを感じました。
しかし、最終的には受講した新卒エンジニアに分かりやすかったと言ってもらったり、他のエンジニアから内容が良かったと褒めてもらったりしたこともあって、頑張って良かったと感じました。
自社研修であるため、これからもブラッシュアップを行いより良い研修にしていくことができると考えています。また、時代にあわせて会社に必要な技術を取り入れていくことも容易です。
今回土台を作りましたので、これからの新卒エンジニア研修がより良いものになることを楽しみにしています。
受講した新卒エンジニアからのコメント
最後に、今回の研修に参加した新卒エンジニアの橋谷さんからいただいた参加の感想を紹介します。
座学では私達の理解度に合わせて進めてくれたため、全くわからないという状況はありませんでした。
また、業務と照らし合わせて説明をしていただいたので、働くイメージを持ちながら学べた点は研修のモチベーションにつながったと思います。
演習では簡単な問題から難しい問題まで用意していただいたので、やりごたえがあり楽しく学ぶことができました。
●研修後半 ~総合演習パートを振り返って~
プルリクエスト作成、コードレビュー、修正、完了の簡単な業務の形を配属前に経験することができたのでとても勉強になりました。
また、技術のトップ(CIO)から直接コードレビューをしていただき、業務におけるプログラムの書き方や意識すべきセキュリティの観点を学ぶことができ、理解を深めることができました。
開発内容に関しては、はじめに用意されていたアプリケーションの制作ではなく、僕たち新卒の意見を柔軟取り入れていただき、カフェアプリを制作することができたのでモチベーション高く開発することができました。
●研修成果
一つ上の先輩方から直接研修を受けることで、質問しやすく学びやすい環境でした。
研修中の時間でも、多くの先輩社員に研修場所まで訪問していただき、業務についてのお話や社内の雰囲気などをお聞きする機会が多々あったので楽しく研修を受けることができました。
他にも業務に近い形でチーム開発を行い、情報伝達の齟齬や報連相を体験することができたので、配属後の社会人としての意識向上に繋がったため、とてもいい経験になりました。
ぜひ来年もこの形で研修を行なって欲しいなと思います!